『模倣犯』をやっとこさ読み終えた

辞書並みの分厚さだからね、苦労しました。

★『模倣犯』上・下　宮部みゆき★
連続誘拐殺害事件の犯人は誰か、っていうのを突き止める作業を色々な事件関係者の目から追って行くというお話。
宮部みゆきらしく、とっても泣ける展開とエピソード。そして、目と支える腕が疲れる。

第一部は犯人がまだわからない状態で、警察と被害者と第一発見者が主体。
私は有馬豆腐店のじいさんが不憫で不憫で。感情移入しまくり。
だって、彼は七十二歳。私のじいさんも七十二歳で亡くなっている。当時私はうら若き二十歳の乙女。一方、じいさんの殺された孫娘も当時二十歳。うーん、泣けますねえ。
でも、うちのじいさんだったら、こんなに賢く振舞えないし、気丈でもいられないと思うな。人間って思ってるほど頭よくないのよ。

第二部は犯人サイド。犯人の過去の状況とか前後しているので、うちのおかんは「あっちこっち飛んでるね」とコメント。・・・そういうのは、効果的になるように計算されて挿入されてるんですよ、お母さん。
そして、最後には犯人も救われそうな感じだったのに、運命の悪戯であんなことに。そして、第三部へ。

第三部はその後のみなさん。被害者の遺族と犯人の遺族の悲しさを書いているわけだね。
で、被害者側の遺族は、犯人の遺族を理解することなんてできないわけ。あるのはただ、怒りのみ。
実は犯人の片方は冤罪で、読んでるこっちはそんなこと解りきってるんだけど、登場人物たちも警察も、みんなそいつが犯人だとほぼ断定してるから、困ったもんなのだ。
読んでてかなりイライラしたよー。冤罪の方の青年なんて、すごいいい人だったのにさ！
でも、だんだん生き残ってる犯人もぼろ出し始めて。「けっ！いい気味だね！！」と思った。
でも、最後は決してハッピーエンドじゃない。当たり前だよ、全員死んでるんだもの。
最後にもまた有馬豆腐店のおじいちゃんに涙。
だって、孫娘は死んだわ、そのせいで娘も錯乱したわ、事件のせいで豆腐店を畳まなきゃならなくなったわで、最悪なんだよ、この人の置かれている状況は。
で、犯人が逮捕されて真実が明るみに出たんだけど、逆にもうすることがなくなっちゃって、酒に酔って自暴自棄になっちゃってんのよ。見てらんないよ。ああ、可哀想に。
第一発見者の男の子と女の子には希望があるので、まだ救われたかなってところもあるけどさ。

てなわけで、これは東宝系列で映画化されるんですが、6月初旬にスタートするらしいっす。
・・・どれだけはしょるんだろうねえ？